アルファ・ベータT細胞療法 (αβT細胞療法)

免疫細胞療法では使用する細胞によって、その名前が付いています。
「アルファ・ベータT細胞療法」はアルファ・ベータ型のT細胞受容体をもった細胞を増殖・活性化させます。
T細胞受容体はアルファ・ベータ型とガンマ・デルタ型の2種類があり、一般的には90%以上がアルファ・ベータT細胞です。比較的簡単に増殖が可能で、この中にはがんを殺傷する細胞傷害性T細胞(CTL)だけではなく、他の免疫細胞を手助けするヘルパーT細胞も含まれます。
そのため、色々な免疫細胞の働きを促進する効果も期待できます。

担がん状態ではがん細胞の免疫抑制作用により、免疫細胞が全体的に働かなくなっています。アルファ・ベータT細胞療法には、その抑制作用を軽減させ免疫細胞の働き易い環境を構築する作用もあります。

アルファ・ベータT細胞の実際

治療は血液40cc程を採取することから始まります。
その後、約2週間をかけて、極めてクリーンな環境が保たれた専用の培養施設で、熟練の技師が培養します。
培養により数百倍から数千倍に増えた細胞を生理食塩水とともに、点滴で患者様に戻します。点滴時間は30分ほどです。
まれに発熱を伴うことがございますが一過性のものです。
アルファ・ベータT細胞は比較的増え易いので、他の免疫細胞治療ができないほどの病状が悪い患者様や、血液中のリンパ球の数や機能が低下している場合でも、治療できる場合があります。

副作用・リスク

稀に発熱と悪寒及びそれに伴う震えや注射部位が一時的に赤くなったり熱を持ったりすることがあります。個人差はありますが、通常1~2日程度で軽快します。その他、成分採血の際に口の周りや手足のしびれなどが起こることがあります。既往にリウマチ、膠原病等、自己免疫疾患のある場合は、病状の悪化をきたす恐れがあります。現在、間質性肺炎を患っている場合は、治療できないことがあります。

本治療について

本治療は、医薬品医療機器等法における未承認医薬品等に該当しますが、再生医療等の安全性の確保等に関する法律により治療の実施及び製剤の製造が承認されております。
クリニック内において、ご本人の血液から免疫細胞製剤を製造いたします。

治療の流れ

相談(初診)

患者様やご家族のご相談をしっかりお聞きし、詳しい治療内容やスケジュールなどをご説明いたします。(随時開催の相談会にお申込みください)十分なご理解をいただき、ご同意を得た上で治療に入ることになります。(初診)

治療期間

採血

患者様の血液を約40cc採取します。
(十分な量のアルファ・ベータT細胞を採取する上で必要な採血量となります。)

培養

約2週間培養することで増殖。活性化し、数百倍から数千倍までアルファ・ベータT細胞を増やします。

投与

50億個から100億個ほどの活性化したアルファ・ベータT細胞を生理食塩水とともに点滴(30分前後)で患者様に戻します。

効果測定

1クール(6回投与)終了後、CT・検査データをお持ちください。
結果を見て今後の治療についてドクターと患者様やご家族とお話し合う機会を設けております。

治療スケジュール

標準的スケジュール
(1クール 12週間 約3ヶ月)
  • 採血
  • 投与
集中的スケジュール
(1クール 7週間 約1ヶ月半)
  • 採血
  • 投与
治療スケジュールは患者様のご状態によって異なる場合がございます。 上記のスケジュールは、標準的な治療と集中的な治療の代表的な例です。 効果判定後の治療についても、様々な治療を組合せて行うことが可能です。
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